近未来予測とそれに対する私的ツッコミ

情報処理学会誌 第543号に載っていた塚本昌彦氏(神戸大学大学院)の招待論文である
ウェアラブルユビキタスコンピューティングによる近未来のくらし』
が面白かったのでそれに対してツッコんでみる。

予言1: 今年立ち上がる電子ブックは2,3年で紙メディアを撲滅する

この論文はiPad発表前に書かれたものだそうで。
散々騒がれてるけど、著作権どうこうがあるので
日本においては2,3年ってのは無理だと思う。
5〜10年はかかるんじゃないかなー

日本ではiPadの勢い次第ってところかな?

予言2: HMD市場は1,2年以内に立ち上がり、数年後には街角で皆がHMDを利用するようになる

HMD = Head Mounted Display ですね。
http://gyazo.com/131543451d8c35bfdfca2bb2513ccb7d.png*1

オーギュメンテッドリアリティと電脳コイル研究会 - UEI/ARC shi3zの日記

今じゃこんなに小さいのか。
利用法として真っ先に思いついたのがカンニングである自分にがっかりした。夢がない。


それにしても電脳コイル研究会とかあるんですねw
小学生のお年玉1年分で買えるようになるには、あと5年はかかりそうだけど、
市場に出回れば間違いなく普及するはずなので、そうなればリーズナブルになるのはすぐかもしれない。

予言3: 街角情報配信は1,2年で広まり、3年後にはARがコンピュータの標準プラットホームとなる

AR = Augmented Reality ですね。
最近、身近なところで使われ始めてARって言葉自体も普及している。

http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/359/178/22.jpg*2

様々な用途に活用できるので、一気に普及する可能性は高い。
電脳ビームだって撃てるようになる。


ARの普及はHMDの普及と相乗効果がありそうなので、
うまくいけば、どちらも5年以内の普及は可能かも。(技術的な根拠は何もないけどw)


ARの最先端ってどこまで進んでいるんだろう?
知っている方いたら教えてください。

予言4: 2年後に、ウェアラブルゲーム機が様々な世代に浸透する

これもARと関わってきそう。
もちろん、ARでなくて完全なVRでの普及もあると思うけど、
上記の流れを考えればARで普及しそう。


すべての中心にARがある感じですね。

予言5: ウェアラブルセンシングの巨大市場が3年で立ち上がり、人々はセンサを手放せなくなる

そして、すべてが情報と化す「超情報爆発」が起きる。
プライバシー問題の解決策とそれを助ける法律の制定が早急に叫ばれます。

予言6: 3年後、冷暖房服が爆発的に展開し、5年後には部屋の冷暖房は消滅する

ここでいう「冷暖房服」とはヒートテックとかそういう類のことではなく、

http://image.itmedia.co.jp/news/articles/0606/19/yuo_kucho02_03.jpg*3

IT戦士の夏も安心! 空調服がUSBに対応 - ITmedia ニュース

こんな感じのもののことらしい。

エコといえば補助金が下りる時代なので、まんざらでもない。
けど、デザイン的にこれはないなw

リンパ腺部分は特に熱効率が良いことが知られているが、股間にファンのついたズボンなどは一度人類がそれを利用すると後戻りできない類のものに違いない。部屋の冷暖房は不要になり、5年後には冷暖房機器はほぼ消滅する。

・・・きっと塚本氏は試してみたに違いないw
冷暖房が必要なのは人間だけではないので、さすがにこれはないと思うけど、
一般家庭の冷暖房機器は10年先には消えているかもしれない。

予言7: 3年後、掃除ロボットは動くホームサーバとして多機能化する

今後、掃除ロボットはカメラや電話、プリンタなどを搭載して(中略)物音に反応して様子を見に行ったり、電子レンジで調理した料理を運んだり(中略)介護や子供の世話などで見守りと家事を両立(以下略)

3年は無理だろうw
少なくともあと7,8年はかかると思いますが、まぁあれば便利ですね。

予言8: ICタグは5年で身の回りのすべてのものに埋め込まれ、生活の中で多様に利用されるようになる

ユビキタスってやつですね。


子供が玄関を出ようとすると、
「ピピピ!PSPを学校へ持って行ってはいけません!」
と怒られるようになる。玄関にね。


労力的に5年は無理だと思う。
過大予測しても10年先とか、そのあたりかな。

現在、主流のIPv4にかわるものとして、それまで最大 232(= 4 294 967 296 )個であったIPアドレスを 2128(= 340 282 366 920 938 463 463 374 607 431 768 211 456)個まで使えるようにしたのが大きな特徴である。つまり約340澗(340兆の1兆倍の1兆倍)個のアドレスが使えるようになる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/IPv6

IPv6であれば理論上すべての物にIPアドレスを割り当てられるらしいです。

予言9: 5年後、飛行型情報機器が登場し、屋内から屋外へと使用範囲が広がっていく

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5e/Cypher-UAV.JPG/240px-Cypher-UAV.JPG


技術的には十分可能だろうけど、これは安全面からいって5年以内は無理だろう。
あと電波法とかにもひっかかりそうだなー

10年先には無線LANルーター搭載のサイファーとか、出てきそうですね。
間違っても打ち抜かないように。

予言10: 10年後、携帯電話はなくなる

携帯電話をどう定義するかにもよるけど、これはたぶんその通りになる。
少なくとも日本のガラケーは廃れる。


というか廃れて欲しい。


もっと先の変化

一般に、情報化社会の進展は10年以上のスパンでは見通しが通しにくい。他分野の技術革新と複合的に社会に影響するためである。しかし、衣食住すべての側面で情報処理がより深いレベルで使われるようになることは間違いない。

これらの技術は急速に進歩していて、
もう、僕らのすぐ隣まで来ている。

自分はむしろ、技術に置いてかれてますがw

未来をより豊かにするためには、映画『マトリックス』で描かれているような、人間がカプセルの中に入り込んでバーチャルな世界で一生を送るようなことにならないよう、技術の方向性を人々が強い意志を持ってコントロールしてゆかなければならない。

マトリックスだけでなくアバターやサロゲートなど、最近のSF映画はどうもカプセルに(または寝たきりに)入りたがるけど、
きっと多くの人はそれは望んでいないよね?

「いや、これはもっと近いうちに現実になるだろ」的なのあれば、コメントください:-)

スペシャルサンクス

*1:画像は下記ブログより転載

*2:画像は[http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100404_359178.html:title]より転載

*3:画像は下記記事より転載